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畳の製法を13工程で詳しく紹介!職人に受け継がれた日本の伝統技術2024.02.16 【お知らせ】

畳の製法は、実は昔からほとんど変わっていません。
しかしどのような工程で畳が作られているか、知らない方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、畳の製法をわかりやすく13工程に分けて紹介します。
「畳ってどんな製法で作られているの?」「そもそも畳っていつからあるの?」と興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

畳の歴史: 日本の伝統芸術が生み出した床

畳の起源は、縄文時代まで遡ります。
日本でもっとも古い書記とされる「古事記」にも、畳についての記述があるようです。

各時代の畳の変化を見ていきましょう。

時代 畳のあり方
縄文・弥生 竪穴式住居に稲藁を敷き詰めていた。
古墳 藁をコモやムシロなどに加工して使っていた。
奈良 ・畳職人が誕生した時代
・ムシロを5〜6枚重ねて畳床を作り、表面にコモを被せて使っていた
・東大寺の正倉院には、聖武天皇が使ったとされる「御床畳」がある
平安 ・畳職人が増えてきた時代
・身分によって厚み・大きさ・柄・色などが決められていた
・貴族は畳、庶民はコモやムシロが一般的だった
鎌倉 ・寝具として使われていた畳が「床材」に移行した時代
・建物が書院造になると、畳は「必要な場所のみ」ではなく「部屋全体」に敷き詰められるようになった
室町 ・畳が敷き詰められた部屋を「座敷」と呼ぶようになった時代
・部屋全体が畳になったことで、日本特有の「正座」が普及
・身分によって畳縁の種類が決められていた
安土桃山 ・茶道が発展した時代
・町民に少しずつ畳が普及し始めた
・ワビサビの精神から、畳が「芸術」として認識され始めた
江戸 ・徳川幕府に「御畳奉行」という役職が設けられた時代
・町民だけでなく庶民にも畳が普及し始めた
・江戸時代後期には畳づくりを生業とする「畳職人」が確立していった
明治・大正 ・畳の柄にかかっていた規制が解除された時代
・明治維新後に一般社会に大きく普及
・畳の「裏返し」や「表替え」など、畳を長く使う工夫が生まれた
昭和 ・高度経済成長期にともない、西洋風の生活が主流になった時代
・畳に座る生活から、イスやソファに座る生活に変わった
・カーペットやフローリングが普及し始めた
平成 ・畳よりフローリングの需要が増えた時代
・建築のコストカットの面でも和室が減少傾向に

生活の知恵として使われていたコモやムシロが、身分を表す「貴族の敷物」へと徐々に変化しました。
江戸時代から庶民にも普及し、西洋化が進んだ現代では需要が減少してきているという流れです。

しかし近年は、畳の需要が再び高まってきています。
フローリングに対し「寒い」「音が響く」などのデメリットを感じる方が増えてきているためです。
日本の伝統技術が生み出した畳は、日本の気候や生活にぴったりの製法で作られていることがわかる変化だといえるでしょう。

畳製法の概要: 古来からの技術と素材

ここからは、下記の畳の概要を紹介します。

● 畳の素材
● 畳の構造
● 畳の種類

それぞれ詳しく見ていきましょう。

畳の素材

畳の素材は、主に以下の3種類があります。

● い草
● 和紙
● 樹脂

一般的にイメージしやすいのは、美しい緑色をした「い草」の畳です。
優れた機能性や心地よい香りを持つい草の畳は、フローリングにはないメリットがたくさん詰まっています。

なかでも、国内シェアNo.1の熊本県産のい草は、香り高さや見た目の美しさが魅力。
機能性や耐久性にも優れているため、客間だけでなく、寝室や子ども部屋での活用にもおすすめです。

畳の構造

畳は、下記の3要素から成り立っています。

● 畳表
● 畳床
● 畳縁

それぞれどのようなものか、以下で詳しく見ていきましょう。

畳表

畳表は、皆さんが目にする「畳の表部分」のことです。
傷や変色がないものが、畳業界では「良い畳表」とされています。
畳表は、い草の本数が多いほど品質が上がるのが特徴。
4,000本〜5,000本ほどが通常の畳、7,000本以上は高級畳として分類されます。

畳床

畳床は、畳表の下にある「土台部分」のこと。
昔は稲藁を何重にも重ねて作った「藁床」が主流でしたが、近年は下記のような新素材の畳床も普及しています。

種類 概要
藁サンドイッチ畳床 藁と藁の間にポリスチレンフォームを挟んだ畳床。
藁床に近い感触だが、より軽く湿気にも強い。
建材畳床 木材を圧縮したインシュレンボードとポリスチレンフォームを使用した畳床。
足あたりは硬めだが、安価で断熱性に優れている。

価格や機能性は種類により異なるため、お住まいの家に合う畳床を選びましょう。

畳縁

畳縁は、畳の長辺に縫い付けられている布のことです。
畳の強度を上げる目的で付けられていますが、近年はさまざまな色や柄を楽しむ方も増えています。

畳の種類

畳は、大きく以下の2種類に分けられます。

● 縁あり畳
● 縁なし畳

それぞれの違いを見ていきましょう。

縁あり畳

縁あり畳は、先ほど紹介した畳表・畳床・畳縁の3要素から成る畳です。
近年ではバリアフリーを考慮して、13〜18mmの薄い縁あり畳が増えてきました。
素材・柄・色などの種類によって、数十種類ものバリエーションを楽しめる畳です。

縁なし畳

縁なし畳は、名前の通り「縁がない畳」のこと。
見た目がスッキリしているため、フローリングに置く「置き畳」としても需要があります。
機械での製造が難しい縁なし畳は、ほとんどの製法を職人が手作業でおこなうため、価格がやや高い傾向です。

畳作りの13工程: 職人の技術と繊細さ


ここからは「い草の育て方」から「畳の吹き上げ」まで、畳の製法を細かく13工程に分けて紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

株分け

い草の株分け作業は、暑い夏の時期に始まります。
質の良いい草が育つように、ここで選別するのは「元気がある苗」のみです。
一株ずつ株分けをして、植え付けの準備をしていきます。

植え付け

夏の時期に株分けをしたい草は、11月〜12月の寒い時期に植え付けをします。
ここまででも、畳の製法が長期に渡りおこなわれていることがわかります。

先刈り

「先狩り」とは、根本まで太陽の光が当たるようにい草の穂先を狩り取る作業のことです。
日差しが暖かくなってきた5月頃おこなわれ、い草に新芽が出るよう促します。

網張り

「網張り」とは、先刈りをしたい草が倒れないように網をかける作業のことです。
この時期のい草は1日4〜6cmほど伸びるため、成長に合わせて何度も網の高さを調整します。

収穫

6月頃になったら、元気に育ったい草を1か月ほどかけて収穫します。
この時点で、苗木を植え付けた時期から約1年8か月もの時間が経過しています。

泥染め

「泥染め」とは、天然染土でい草を染める作業のことです。
泥染めをした後は16時間ほど乾燥させ、畳特有のツヤ・香り・性能を際立たせます。

選別

い草の選別は専用の機械(選別機)でおこない、同じ長さごとに振り分けます。
枯れた部分や傷などは、一本ずつ職人が目視で確認します。

織り

ここからは、いよいよ畳の形を作っていく作業です。
何本もの糸が張ってある織り機を使って、選別したい草を農家の人が手作業で織っていきます。
一畳の畳表を仕上げるのにかかる時間は、1時間半ほどです。

表張り付け

職人が活躍するのは、この「表張り付け」の工程から。
農家から送られてきた畳表を、畳床に張り付けていきます。
今では機械で表張り付けをする畳店がほとんどですが、以前は職人が一つひとつ手作業でおこなっていました。

ヘリ付け

畳床に畳表を張り付けたら、次は「ヘリ付け」の工程です。
今は機械でやることが多いですが、昔ながらの職人は10cm以上もの長い針を使って手作業で縫い付けます。
美しさや耐久性などに直結するこの工程は、まさに職人の「高い技術」を感じる瞬間です。

角綴じ

「角綴じ」とは、畳のヘリの角を処理する作業のことです。
畳の角を守ることで、耐久性がアップします。

返し縫い

ヘリの処理は、この「返し縫い」まで続きます。
土台の上側から、ヘリと畳床を糸で固定する作業です。

吹き上げ

最後の仕上げに、畳の表面を丁寧に吹き上げます。
この工程まで終わった畳が、皆さんの生活の中で多様に活用されています。

畳の機能性: 日本の生活環境に最適化された床

畳には、日本の生活環境に最適な機能がたくさん詰まっています。
「畳に寝転がると、なぜか落ち着く……」という人は、ぜひ畳の機能性について知識を深めてみましょう。
以下で詳しく紹介します。

湿度を整える

い草には、空気中の水分を吸収・放出する作用があります。
高温多湿な夏は湿度を下げ、低温低湿な冬は湿度を下げる効果が期待できるでしょう。
畳は「天然の加湿器・除湿器」の役割を果たすため、通年で快適な湿度を保つのに役立ちます。

室温を快適に保つ

湿度だけでなく、畳は「温度調整機能」にも優れています。
期待できる効果は下記のとおりです。

い草の作用 効果
真夏 冷房で冷えた空気を含む 涼しく過ごせる
真冬 暖房で温まった空気を含む 暖かく過ごせる

「夏は涼しく、冬は暖かく過ごしたい」という方に、畳はおすすめの床材です。

空気を綺麗にする

畳は「エネルギーを消費しない、天然の空気清浄器」とも呼ばれています。
なぜならい草には、空気中の有害物質を吸着・浄化する作用があるからです。
健康的な住環境を整えたい方は、ぜひ畳の導入を検討してみましょう。

安眠効果が期待できる

い草には、下記のような香り成分が含まれています。

● リラクゼーション成分「αーシペロン」
● 森林の香りの「フィトンチッド」
● 香水にも使われる「バニリン」

どれも安眠が期待できる、リラックス効果の高い香りです。
日本人の多くの方が経験している「畳に寝転がると眠くなる」という現象には、実はこのような根拠が隠されていました。

クッションの代わりになる

畳は「畳表」と「畳床」の2層になっています。
空気の層が転んだときのクッション代わりになるため、お子さんや年配の方がいるご家庭は畳の部屋があると安心でしょう。
そのまま寝転がっても痛くないので、寝室や子ども部屋の床材としてもおすすめです。

嫌な臭いや菌の繁殖を防ぐ

い草には、高い抗菌作用があります。
下記の臭いが気になる方は、畳を導入することで悩みを軽減できるかもしれません。

● 加齢臭
● 汗の臭い
● タバコの臭い

また臭いだけでなく、畳には汗を吸着・浄化する作用もあります。
畳の部屋があれば、汗をたくさんかく夏も毎日を快適に過ごせるでしょう。

まとめ

今回は、畳の製法や歴史などを紹介しました。
「どのような工程で作られているか?」「どのような機能性があるか?」を知れたことで、以前より畳を選びやすくなったのではないでしょうか?

近年は、おしゃれな縁あり畳や、シンプルで取り入れやすい縁なし畳も増えてきています。
機能性や香りを存分に感じたい方は、この機会にぜひ『朝日タタミ』の国産畳をご検討ください。